【鎌ケ谷市】自然の脅威、作品への思い入れ、時の流れ、どれ一つ欠けても生まれなかった自然が描く究極のアート
2025年3月9日(日)まで開催中の第22回鎌ケ谷市美術展覧会(市展)の会場で、写真のコーナーに展示されていた作品に目を奪われ、撮影された早川 廣行さんにお話を聞かせていただきました。ありがとうございます。
広告写真のカメラマンとして

胃袋型のビール 早川 廣行
鎌ケ谷在住で、プロの広告写真のカメラマンとして、商業写真を撮影するお仕事をされていました。清涼飲料水のポスターに使用する写真を撮るために、ニュージーランドに撮影に行ったこともあったそうです。幅広い分野で、撮影に携わってこられました。

藤 早川 廣行
鎌ケ谷市美術展覧会にも協会員として、写真を出展されてきました。こちらは、2010年第7回展にて展示された「藤」という作品です。人物や風景など様々な写真を撮影されてきました。
9.11のその日鎌ケ谷で起こったこと

Memory-II 早川 廣行
2001年9月11日、いつものように仕事に行かれていたその日、鎌ケ谷市内を台風の中発生した竜巻が襲いました。早川さんのお宅は屋根が剥がされ、その後処理に追われながら、目にしたテレビでは、アメリカ同時多発テロ事件で、世界貿易センタービルにユナイテッド航空175便が激突する様子が写されていました。忘れもしない一日です。

Memory-V 早川 廣行
その後、被害状況を確認すると、作業室の天袋に保管していた大量の撮影済みポジフィルムが水浸しになっていました。多くの家財道具は処分したものの、大切な作品は捨てることが出来ず、そのまま倉庫にしまって、そのことはすっかり忘れてしまっていたそうです。
見たこともない不思議な世界

Memory-I 早川 廣行
忙しいお仕事が落ち着かれた頃、倉庫の片づけをしようと、ふと見つけた段ボールから、あの日のポジフィルムの山を発見。年月を経て、流れ出したゼラチン層がまるで墨流しの技法のような絵柄を描いていることに気づき、面白いパターンのものを選別し、25の作品が完成しました。市展にも最初は、上の写真のような人物など元の写真がわかるものを出展されていました。

Memory-VI 早川 廣行
徐々に、元の撮影したものが早川さんご自身にしかわからない作品も出展されています。
2025年市展の展示作品

Memory-XVII 早川 廣行 現地にて撮影
開催中の2025年市展には、Memory-XVIIが出展されています。撮影した元の題材は、モニュメントだったとお聞かせいただきました。写真なので、写真部門に展示されていますが、来場された方からも、どういう写真なのですか? と協会員の方に質問が何度も寄せられるとお聞かせいただきました。

Memory-XVII 早川 廣行 現地にて撮影
明るい色合いは、水害という大変な災害がなければ生み出されませんでした。早川さんもあの日、処分していれば生まれなかったとお話されていました。今後も毎年3月の市展、12月の鎌ケ谷市美術家協会展で作品が公開される予定です。※早川さんの作品は、公式サイトでどなたでも閲覧することが可能です。今回記事中で使用した画像も、現地にて撮影したもの以外は、早川様のご厚意で使用させていただきました。ありがとうございます。
お話をうかがった早川さんの作品が2025年3月9日まで展示中の第22回鎌ケ谷市美術展覧会(市展)が開催されているショッピングプラザ鎌ヶ谷はこちら↓