【鎌ケ谷市】おしゃらく踊りは江戸時代の流行歌。集まればついつい踊り出したくなったそうです。
鎌ケ谷市唯一の無形民俗文化財、おしゃらく踊りが2023年7月29日、4年ぶりに鎌ケ谷駅前夏まつりで市民の皆さんの前で披露されました。踊りを披露されたおしゃらく踊り保存会の方に後日、お話を聞かせて頂きました。
おしゃらく踊りは、現在も東葛印旛大師講という四国の八十八か所巡りを模して、各地を回る際の休憩時におもてなしの一つとして踊られています。江戸時代には鎌ケ谷市内各地で厳しい農作業の合間の楽しみとして、かまどの周りに集まってお茶を飲みながら楽しく歌い、踊っていたそうです。
こちらがおしゃらく踊り保存会の方が練習に励まれている軽井沢地区集会所です。鎌ケ谷市学校給食センターの通り沿いにあります。
集会所の前にもしっかりおしゃらく踊りの看板が立っています。写真には10名以上の方が扇子を手に踊る姿が写っていました。昭和61年におしゃらく踊りが鎌ケ谷市指定無形民俗文化財に指定されました。
現在のように、スマホやSNSなどの娯楽もなかった時代に、結婚式などのおめでたい席で、きれいな着物を着て踊ったところから、「おしゃれ」という言葉がなまって「おしゃらく」と呼ばれるようになったそうです。千葉県は現在は方言らしいものはあまり残っていませんが、音源を聞かせて頂くと、なまりらしい表現が多く残っています。
以前は流行りの歌とは言え、軽井沢地区の方のみに口伝えで伝承が行われてきました。決まった文句を合いの手で入れる民謡も多い中、おしゃらく踊りでは、2人以上が一曲を歌う中で、前の人が歌った部分をしりとりのように繋ぎ合いながら、歌う、毎回ライブ感たっぷりのアレンジが繰り広げられていたそうです。
現在では、歌い手の方も歌うことはできるけど、手取り足取り教えていくことは難しいと、以前に録画されたものを使って練習が行われています。映像を見ながら、ここはもっと手を上の方にすると動きがキレイに見えるねなどと、和気あいあいとより良い、おしゃらく踊りに仕上げるために皆さんが楽しんで練習に参加されています。
おしゃらく踊りには鉦(かね)の音が欠かせません。曲の間中、ずーっと歌い手の方が、たたきながら、曲が進みます。高い声で歌う歌い手の声と鉦の音が響き合い、マイクなんてなかった時代にも遠くまで声が届いていたそうです。
締め太鼓は、合いの手のように、「ななつばち」と呼ばれる7回たたく演奏の仕方で思わず踊り出したくなるように曲を盛り上げます。お話を聞かせて頂いた小金谷嘉平さんは、40代から歌い手として、歌い続けてこられました。曲が歌えるようになるまでどの位かかりましたか?との質問には、30年と指を立てて答えて下さいました。教わった頃は、教えて下さる方も厳しく指導されたけど、楽しいから続けて来られたよ、と笑顔で教えてくださいました。ありがとうございます。
おしゃらく踊りは、全国的にも念仏踊りと呼ばれる形で各地に残る鎌倉時代に一遍上人が広めた踊念仏の系統であると考えられています。「小念仏踊り」とも呼ばれています。「高砂(たかさご)」は兵庫県の播州についての歌詞が冒頭にあり、「木更津(きさらづ)」は、千葉県木更津のことを歌ったものです。当時の流行歌も現在と同じように話す時とは違う所で伸ばすなど歌い方は時代を越えても同じなんですね。
歌詞としてまとめると、A4用紙1枚になるのですが、音を伸ばして歌うので、一曲7分ぐらいの演奏時間になります。同じ系統の踊りとして千葉県内には、県の無形民俗文化財に指定されている松戸の万作踊りや、浦安のお洒落などがあります。
令和5年度おしゃらく踊り保存会には、新規の会員の方が5名入会され、鎌ケ谷駅前夏まつりに向け、猛練習をして当日に臨まれたそうです。和気あいあいとした活動の中にも、皆さん人前で披露するにはもっと高みを目指したいと練習に励まれています。もっと多くの方におしゃらく踊りを知ってもらいたい、江戸時代から400年以上続く伝統を途絶えさせまいと保存会に2023年6月より入られた岸田さんにもお話を伺いました。
おしゃらく踊りは、他の多くの盆踊りなどと同様、昔は自分の住んでいる地区以外に出向いて結婚相手を探す貴重な出会いの場でもあったそうです。元々女性の方が踊っていたけど、男性の方も増えてきているので、男性の方にも活躍してほしいです。盆踊りのように、現在小学生の間で踊りが広まっているおしゃらく音頭などの要素も取り入れつつ多くの人がいずれ踊れるような踊りにしていきたいとのことでした。練習している様子をスマホで撮影し、動画を見ながら、よりよいおしゃらく踊りを作り上げていこうと皆さんで取り組まれています。
現在、踊り手の他に、鉦(かね)、太鼓、三味線の歌い手も募集されているそうです。練習は第一・第三水曜日に軽井沢地区集会所で行われています。お問い合わせは、鎌ケ谷市役所 文化・スポーツ課で受付されています。軽井沢地区にお住いの方に限らず、これまで続いてきた伝統を鎌ケ谷市民みんなで受け継いでいけるといいですね。
おしゃらく踊り保存会の皆さんが、主に練習されている軽井沢地区集会所はこちら↓